4-4-4.等級制度の作り方-等級基準の決め方-職位法

職位法は次のように役職を等級基準とする方法です。

 

等級

職位

7等級

経理部長、人事部長、研究所長、大規模支店長

6等級

総務課長、広報室長、主任研究員、小規模支店長

5等級

研究員、資材課主任、営業所長、上級SE、支店課長

4等級

営業職、初級SE、職長、福利厚生係長

3等級

研究補助職、顧客担当職、企業法務員、プログラマー

2等級

経理課事務員、保全工

1等級

製造工、データ処理職、事務補助職

(資料出所)「職務(役割)給の導入実態と職務(役割)評価―ホワイトカラーの多様な職務(役割)に対応した制度に向けて」第5章、笹島芳雄「職務等級(役割等級)制度の設計と管理」(雇用情報センター、2007年)

 

これも簡単に運用できる方法です。通常、役職が上がるほど責任が重くなり、仕事の価値や重要性も高まるはずです。

 

ただし職位法にしても、前述の分類法にしても、なかなかこれらの基準だけで運用しがたい場合があります。たとえば分類法の例3の、グレード5の基準の2番目は次のような3つの要素から成り立っています。

 

・経営トップと密接に連携する

・経営資源を最大限活用する

・企業目標の達成のために業務を推進する

 

これを導入しようとすると、おそらく次のような質問が出てくることでしょう。「私の仕事は経営トップと密接に連携するし、経営資源を最大限活用するけれども、企業目標の達成のために業務を推進するというわけではない。どこに分類されるのか。」組織の中には定義にぴったり当てはまる仕事だけがあるわけではありません。

 

職位法にしても、部長なら、その定義は部の責任者ということで良いでしょう。課長の定義もやはり、課の責任者ということで良いでしょうか。しかし係長くらいになると、必ずしも係という組織の長ではなくなってきます。「会社が係長と言えばその人は係長」というようなところがあり、定義がはっきりしなくなってきます。主任、一般社員と、下層になればなるほどこの傾向は顕著です。

 

両者の欠点を補完するために、次のように分類法と職位法を折衷した基準書を用いることがあります。

 

等級

職務

職位

7等級

経営トップと密接に連携しつつ、経営資源を最大限活用して、企業目標の達成のために業務を推進する職務

経理部長、人事部長、研究所長、大規模支店長

6等級

経営方針に基づき、専門的知識・経験を駆使して全社的視野の下で高度の企画・研究・開発などを行うと共に、担当業務の推進を図る職務

総務課長、広報室長、主任研究員、小規模支店長

5等級

上司の概略的方針に基づき・、企画・研究・開発などを行うと共に、組織の核として業務を推進し、併せて後進の指導育成を行なう段階の職務

研究員、資材課主任、営業所長、上級SE、支店課長

4等級

上司の包括的指示により、関連部門との折衝を図りながら、大部分自己の判断で担当業務の遂行を行う段階の職務

営業職、初級SE、職長、福利厚生係長

3等級

上司の概略的指示により、時には自主的判断を必要とするが通常は基準・原理・規則・先例に沿って、定型的業務を正確・迅速に処理する職務

研究補助職、顧客担当職、企業法務員、プログラマー

2等級

上司の詳細な指示の下に、予め定められた方式に従い、定型的業務を処理する段階の職務

経理課事務員、保全工

1等級

上司の常態的監督の下で、極めて定型化された業務を正確に処理する段階の職務   

製造工、データ処理職

事務補助職

(資料出所)「職務(役割)給の導入実態と職務(役割)評価―ホワイトカラーの多様な職務(役割)に対応した制度に向けて」第5章、笹島芳雄「職務等級(役割等級)制度の設計と管理」(雇用情報センター、2007年)

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