5-3.賃金改定の進め方_「改定は無理」にならないようにするために

定期昇給という言葉はどうも評判が悪いようです。その背景には何も貢献しなくても自動的に賃金が上がり、長く勤めさえすれば高給取りになれる制度であるという誤解があります。

 

たしかに、賃金は年齢給と勤続給が大部分を占め、あとは役職手当だけというような、極端な年功型の賃金制度をとる企業もかつてはありましたが、今では少数派です。

 

ここで紹介する賃金改定は、実は定期昇給です。定期的に行い、原則として増える方の改定のみであり、減る方の改定は行われないという意味で定期昇給です。ただし増える幅は成績によって差があります。全員一律ではありません。

 

定期昇給は次のように進めます。

 

まず

 

 

成績係数

 

水準係数

調整係数

改定額=改定前基本給×

S 0.030

A 0.025

B 0.020

C 0.015

D 0.010

×

1.6

1.3

1.0

0.7

0.4

×α

 

昇給額=前年度基本給×成績係数×水準係数×調整係数

 

とします。

 

成績係数は成績に応じて決まる係数です。次のようにします。

 

成績 係数

S

A

B

C

D

0.030

0.025

0.020

0.015

0.010

 

水準係数は昇給前の賃金が等級内で相対的に高いか低いかによって決まります。低い人は早くその等級の標準的な賃金に追いつけるようにし、高い人は標準的な賃金から大きく乖離しないようにするための仕組みです。

 

具体的には、各等級の上限値と下限値の間を5等分します。そして下から順に次のような係数を設けます。

 

区分 係数

第一・20%

第二・20%

第三・20%

第四・20%

第五・20%

1.6

1.3

1.0

0.7

0.4

 

調整係数は昇給額を予算に適合させるための仕組みです。昇給額を「改定前基本給×成績係数×水準係数」だけで計算するとしたら、全社的な昇給額が原資に適合するとは限りません。原資が多すぎる場合も出てくるでしょうし、少なすぎる場合も出てくるでしょう。そこで調整係数を噛ませます。「改定前基本給×成績係数×水準係数」まで計算した段階で出てくる数字が仮に昇給予算の1.5倍であったなら、調整係数②は1÷1.5の0.67とします。調整係数をどうとるかによって、その年の賃上げ率が決まります。

 

 

もちろん、等級の上限を超えては昇給させません。

 

 

 

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