7-3.役職手当は基本給で払うべき

通勤手当に次いで採用率が高いのが「役付手当など」で、82%の企業が支給しています。役付手当を払う根拠は主に、責任があることと、残業手当が支給されないことでしょう。責任ということに関していえば、役付者には確かに固有の責任があります。しかし賃金は責任の重さだけで決まるわけではありません。仕事に要する知識や技能、仕事に伴う精神的・肉体的負荷、作業条件なども重要な要素です。それなのに特に責任に対してだけ手当を払うというのは責任偏重です。

 

役付手当は実質的な残業手当であるとの見方もあります。しかしそのような意識が定着してしまったら、管理職にとって残業は義務になります。業務を効率化して残業がなくなったら、役付手当を返上しなければならない理屈になってしまいます。これでは本末転倒です。いつまでたっても長時間労働が是正されません。

 

無論、役付手当を払うならば「知識技能手当」あるいは「負荷手当」というべきものも払うべきだとか、管理職にも時間管理をするべきだとかいうわけではありません。職務の特性に対応する賃金は基本給であるべきだということです。なまじ役付手当というものがあると、部下を管理するとか売上に対して責任を持つとかいうことだけが賃金の決定要素であるかのような文化が社内にできてしまいます。そうなると高度な知識を持った技術者や専門職に相応の待遇をすることができなくなります。責任だけでなく知識・技能、負荷、作業条件など多角的な面から職務内容を評価し、それに応じた基本給を支払うべきです。

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