7-2.通勤手当は必要か

諸手当の中で最も採用率が高いのは「通勤手当など」で、91.6%の企業がこれを支給しています。しかし通勤手当は果たして必要でしょうか。

 

まず、欧米企業は通勤手当を払っていません。それで十分成り立っています。

 

通勤手当が常識化している理由の一つに、1か月10万円まで非課税であることがあげられます。仮に現在通勤手当を支給している企業がこれを廃止するとしたら、それによって浮いた人件費を基本給に回すはずです。非課税枠から課税枠に移すというのは勇気が要るものです。しかし、多くの会社員の限界税率(所得が1万円増えたら、それに課せられる税金はいくらか)は5%です。通勤手当の年間支給額は平均で約14万円です。これの5%といえば7千円です。通勤手当が基本給に移行しても、可処分所得は年間でこれだけ減るのみであり、それほど大きい変化ではありません。

 

社員は会社が指定した家に住んでいるわけではありません。それなのに通勤費用に応じた賃金を払うというのは奇妙な話です。それよりはむしろ、能力や成果に応じて払う基本給を拡充させた方が良いでしょう。

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