10-3.評価基準が不適切

前回このページで述べたとおり、日常起こりうることは無限であり、それらをすべて評価基準書に盛り込むことは不可能です。重要ないくつかの項目に絞り込むしかありません。さらに、評価者には観察できない要素もあります。たとえば「折衝力」や「判断力」といったものを評価基準に含んでいる会社があります。これらが観察可能であるかどうかは疑問です。

 

重要であり観察可能であることに絞り込んだ評価制度とはどういうものかというと、少なくともいま確立されている評価制度の中では、MBO(目標と自己統制による管理)が最も有力でしょう。MBOはそれぞれ異なる個人の仕事の中で、重要で達成度が測定できるものを選んで評価基準にする方法です。

 

MBOに限らず、どのような評価制度であっても、設計や運用にはトップの積極的な関与が不可欠です。これは評価一般ではなくMBOに限った話ですが、トップの関与が高いケースでは生産性上昇率が56%、関与が低いケースでは6%であったという研究結果があります 。

 

(参考文献:『高橋潔『人事評価の総合科学』(2010)

 

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