10-4.社員による好ましくない反応

アメリカのある市で、議会が警察の評価指標としてパトカーの走行距離を用いたために、警察官が一日中高速道路を行き来していたという話があります 。旧ソ連では、ややマユツバものですが、鉄工所の評価を製品の重量で行ったために、工場が巨大な1本の釘を作ったという話があります 。

 

MBOではよく、達成率を上げるために、社員があえて低い目標を立ててくるということが言われます。愚かなことのように思えますが、社員にしてみれば、自分がやらなくても同僚がやるかもしれませんから、やるのが合理的な行動です。

 

こうした問題行動にはたいていの場合解決策があります。MBOの話で言えば、難度をかませて「難度×達成率」で評価するようにすれば済む話です。それができないのは会社が、いったん決めた評価指標を改定するのは恥だという意識を持っているからです。大幅な改革を毎年やることは好ましくありませんが、小さな改善なら毎年やることもけっして恥ではありません。

 

(参考文献)

スティーブン・P・ロビンス『組織行動のマネジメント』(2009、ダイヤモンド社)
ポール・ミルグロム、ジョンロバーツ『組織の経済学』(1997、NTT出版)

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