「目標設定のSMART原則」というものがあります。目標は
Specific(明確な)、
Measurable(測定可能な)、
Attainable(あるいはaggressive、達成可能あるいは積極的な)、
Relevant(企業目標に関係のある)、
Time-bound(達成期限を含む)
なものを設定せよという意味です。
このほかにも
「メンバー間で合意が取れている」
「目標達成の責任の所在が明確である」
という基準もあります。
企業のMBOにかかわっていて、これらの原則には同意します。MBOが主因であるかどうかは不明ですが、目標設定の段階で上記の諸点をチェックしている会社は業績が改善していますし、チェックしない会社はMBOが短期間で風化してしまいました。
携帯電話販売員の例で言えば「10~3月の間に新規で○○台販売する」というのは、好ましい典型的な目標です。
人事部員が「3月末までに、新賃金制度への移行を完了させる」という目標を立てるのも良い例です。新制度について社長の承認を得て、社員に説明会を行い、給与規定を労働基準監督所に届け出て、新しい制度に各社員の賃金を移行するということがすべて終了して100%達成です。いくつかが3月末までに終了しなければ達成率が減じられます。
「○○の充実を図る」だとか「○○を拡充する」だとかいうのは不適切な目標の典型です。これでは上司が達成度を評価できません。
「10~3月期の目標なのだから、達成期限はすべて3月末にする」という考え方をとる人がいますが、これには反対です。期限が一時に集中して、達成できなくなる可能性があります。
(参考文献)
笹島芳雄『最新アメリカの賃金・評価制度―日米比較から学ぶもの』(2008、日本経団連出版)
G・マイケル・キャンベル、サニー・ベーカー『世界一わかりやすいプロジェクト・マネジメント』(2011、総合法令)