全社目標は社長が設定しなければなりません。目標は経営戦略を具体化したものであり、戦略においては選択と集中が重要です。しかし社員は部長クラスといえども、既存の事業からの撤退や新規事業への進出を提案できるほど思考の自由度がありません。目標設定に代表者が消極的で、部長クラス任せにしている会社があります。そういう会社の目標はえてマンネリ化しており、前年度の目標の踏襲に過ぎないものになっています。そのような状態では、いままで達成できなかった目標が達成できるとは思えません。
もっとも代表者といえども、上であげたすべての分野について目標設定することは不可能です。ある会社では事前に部長クラスから匿名で経営課題に関する意見書を提出するように求めています。お互いにそれを読んだうえで全社目標設定会議を開き、徹底してお互いの意見を聞くことを重視しています。会議の場で全社目標を決定するわけではなく、議論を踏まえて社長が決定しています。このようにして設定した目標には会社全体の合意が強く、労働生産性も年を追って上がっています。