14-2.容易すぎる目標を立てることは戦略として誤り

目標設定における最も一般的な誤りは、容易すぎる目標を立てることです。難度設定があるから、低い目標を掲げて達成率だけ上げても何にもならないということがわかっていても、人はどうしても容易な目標を設定しようとします。おそらく上司に宣言する以上、達成しなければ会社にいられなくなるという意識が働くためと思われます。無論そのようなことはありませんし、容易な目標を立てることは会社にとって好ましくないだけでなく、個人の戦略としても誤りです。

「目標設定理論」というものがあります。困難で明確な目標は、容易で曖昧な目標よりも高い成果を生むというものです。アメリカの心理学者ロックが1969年に提唱し、少なくとも1991年までに、およそ400の研究で確認されてきました。

人間はどうしても目標に引きずられます。容易な目標を立てると、それを100パーセント達成することで満足してしまい、超過達成しようとしません。結果的に低い業績点に終わってしまいます。しかし難しい目標を立てると、もともとできなくても不思議でないものだとわかっていても、達成することに執着します。結果的に高い業績点になります。私が見てきた限りでは、難度が高い目標を立てる人ほど業績店が高い傾向は明確にあります。容易な目標を立てることが個人の戦略として誤りであるというのはこの意味です。

 

(参考文献)

奥野明子『目標管理のコンティンジェンシー・アプローチ』(2004、白桃書房)

▲ページTOP