17-2.公正感を高める5つの条件

上司は部下の自己評価を読み、事実を確認して達成度を評価します。ここで部下の自己評価を鵜呑みにする人がいますが、そのような人は管理者として失格です。

 

古川久敬、柳澤さおり、池田浩『人的資源マネジメント―「意識化」による組織能力の向上』(白桃書房)は、評価される者の、評価に対する公正感を高める条件として次の5点をあげています。

 

1.評価の前に被評価者から情報や意見などを求める
2.面談中に評価者と被評価者の間で双方向のコミュニケーションがある
3.下された評価結果に対して被評価者が異議申し立てできる
4.評価者が被評価者の職務内容について十分な知識を持っている
5.評価者が一貫した評価基準を適用する

 

これらをみるとわかるように、自己評価を鵜呑みにするのは逆効果です。部下の仕事内容を熟知して厳しくチェックする方が信頼を得られます。

 

難度設定も上司評価の段階で改めて行います。どんな仕事も事前にどれだけ難しいかを予測することは困難です。しかし難度設定をしなければ、容易な目標ばかりあげてくるという弊害が起こります。労務行政研究所が行った調査『2013年目標管理制度の実施状況と運用課題』によると、「目標達成度評価の問題点」という問いに対して「期初に立てた目標の難易度と実際の業務遂行の結果としての難易度が異なるため、評価基準にブレが生じる」ということが、13ある選択肢のうち3番目に多く挙げられています。ブレが生じるのは悩ましいことですが、避けられません。信頼性が低い、事前の予想にすぎない難度設定で押し通すよりは、事後的に改めて難度設定をした方が納得度も高まります。

 

ウェイトもやはりこの段階で再考します。「難度×達成率」が高い目標項目のウェイトを引き上げれば本人にとって有利であり、引き下げれば不利になります。しかしそのことは考慮せずに再設定します。

 

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