評価制度を作るとき、どの経営者も「ウチの会社にあった制度を作って欲しい」と言います。つまり出来合いのものではなく、我が社だけのために作った独自の評価基準ということです。しかしそのようなものを作ることは、実は一企業に容易にできるようなことではありません。
評価基準書に盛り込むべきことは、「このように仕事をすれば成果が上がる」ということです。しかし、私たちはそのようなことについて定見を持っているでしょうか。私がもし「コンサルタントにとって最も重要な行動は何か」と問われたら、「それがわかったら苦労はしない」というのが本音です。あえていうとすると、やはり専門的な知識を多く持つことではないかと思います。しかしこれに対してもし、「そういうコンサルタントが成功しているという根拠はどこにあるのだ」と問われると、恥ずかしながら言葉もありません。
言い訳をさせていただくと、根拠があることを言うためには、かなり大がかりな調査をしなければわかりません。一人や二人のコンサルタントの仕事ぶりを見て一般化することはできません。しかし誰が同業者に成功や失敗の秘訣など教えてくれましょうか。協力してくれるお人好しな同業者がいたとしても、100社も200社も調査する費用はとてもわが社の資力で負担できません。
独自の評価基準を作ることが困難であるのは、このような理由によります。どうすれば成果が上がるのかということは、普通の企業にとって「逆にこっちが聞きたい」と言いたいことです。それを調べるということは大企業でも容易に負担できないような費用を要します。