いままでこのページで、主として賃金制度や評価制度について述べてきました。しかしこれらさえ整備すれば会社の業績が良くなるというわけではありません。常識的に考えても、社員に能力がなければどうにもなりません。いわゆる「社風」が悪い会社もダメなはずです。賃金以外に重要な人事施策政策とは何なのか。今回はこれについてお話しします。
賃金制度を設計するとき、どの経営者の方も「うちの会社に合った制度を作って欲しい」と言われます。
しかし過去にこのページで述べたように、正社員の賃金に関しては、①等級があり、②等級に幅があり、③評価つき定期昇給があり、④上位等級のメリットは累進的にするという原則に合わない会社はありません。上であげた、社員の能力や社風が重要だということも、業種や企業規模、市場の成長段階(成長期か安定期か衰退期か)を問わず当てはまるはずです。
つまり人材活用においては、どのような組織でもどのような環境であってもあてはまる成功法則があります。
組織や状況を問わず効果的である人事施策については古くから研究が行われており、そういう施策のことを「ベストプラクティス」と言います。直訳すると「最善施策」ということになりましょうか。その中でもっとも有名な理論として「フェファーモデル」があります。スタンフォード大学経営学大学院教授であるジェフリー・フェファーが提案したもので、人材活用の教科書では必ずと言ってよいほど紹介されています。
(参考文献)
ジェフリー・フェファー『人材を生かす企業』(1998、トッパン)