27-1.採用はギャンブルなのか

採用とは難しいものです。プロ野球のように、まさに入団後に行うプレーそのものを肉眼で見て、豊富なデータを分析したうえで採用する世界であってさえ、一度も公式戦に出場しないままに引退する選手が多くいます。それでもプロ野球は、ドラフト上位指名の選手ほど一軍に定着する確率が高いという点で、スカウト活動が有効に機能しているといえます。

 

一般社会では、たとえば大学経済学部卒業者においては、卒業時の知識能力が高い人ほど卒業後の所得が低いというデータがあります。つまり成績優秀者ほど、職業人として有能だというわけではないということです。しかしそうであるからといって、企業は知識能力の低い経済学部出身者を優先的に採用すれば繁栄するというわけではないはずです。

 

採用は努力や研究をすることによって成功確率を高めることができない、ギャンブルであるかのようにさえ思えてきます。しかし採用に関しても、実際に役に立ついくつかの理論があります。

 

(参考文献)

濱中淳子『検証・学歴の効用』(2013、勁草書房)

▲ページTOP