リアリズムに基づく採用の重要性についてお話ししてきましたが、ではリアリズムに基づいて提供すべき情報とはどういうものでしょうか。
それは
①労働時間・休日・休暇
②能力開発
③経営トップの人柄や社風
④入社後の仕事内容
です。これらの情報を事前に入手できた従業員ほど、入社後の満足度(「この会社に入って良かった」と思う気持ち)が高いとう分析結果があります。
分析の対象になった情報にはほかに「会社の業績や将来性」、「会社の経営方針」、「勤務後の年収」、「勤務後の職位」、「勤務後の部下や上司」、「福利厚生」がありますが、これらは上記の4項目に劣後しています。
「労働時間や休日休暇目当ての人に来てもらっては困る」と思われるかもしれませんが、これは誤りです。これらのことが目当てである人にこそ来てもらうべきです。なぜなら労働時間や休日休暇に関する情報を事前に入手できた従業員は、従業員側の満足度だけでなく企業側の満足度(「この人を採用して良かった」という気持ち)も高くなっているからです。
(参考文献)
黒澤昌子『円滑な転職のための環境整備―知らせる仕組みと知る仕組み』(佐藤博樹・玄田有史編『成長と人材』〈2003、勁草書房〉所収)