自己中心性や主体性不足といった傾向は生来のものであると考えられがちですが、実はそうではなく、環境が作るものです。芸能界のアイドルや高校球児をみればわかるとおり、若い世代の気質はいまも昔も変わっていません。
長い間、足に重石をつけて育てられた象は、いざ重石を外されても逃げようとしないといいます。自分の力で統制できない状態が長く続くとやる気を失う、「学習性無力感」といわれる状態です。
同じ性質は人間にもあてはまります。「上司がカラスは白いと言ったら、部下もカラスは白い」というような状況にあって、自己効力感を覚える人はいません。
あるいは、成果を上げても上げなくても同様に昇給するとか昇進するとかいう、本人にとって楽な状況でも、やはり努力で状況は変えられないのであり、やる気を失ってしまいます。
若手の自己中心性や主体性不足といった傾向を修正しようとする場合、上司の指導力養成よりも何よりも、まずは若手が自分の力で統制できる状況を作ることが先です。