34-4.能力ではなく努力に注目する

目標が達成できたとき、あるいはできなかったとき、それをどういう原因に帰するかという上司の態度もやる気に影響します。

 

「帰属理論」というものがあります。成功や失敗の原因を何に帰属させるかによって、意欲に影響が出るという理論です。これによると、まず能力のせいにすることは不適切です。「あなたにはもともと無理だったのだ」と言われたら、「それならほかの人にやらせろよ」と思ってしまいます。「運が悪かった」という言い方もマイナスです。運次第ならば、努力ではどうにもできないということになってしまいます。「あなたでなくてもこれはできない」というような、課題の本質的な難しさのせいにするのも不適切です。「じゃあ何のためにやったのだ」ということになってしまいます。

 

最も効果的なのは、本人の努力の結果であるとする態度です。単に「あなたの努力の結果だ」というにとどまらず、「このやり方が良かった」「別の方法を試すべきだ」ということを言うとさらに効果的です。言われた側は

「今度はもっと頑張ろう」「次は別の方法を試してみよう」という気持ちになります。

 

ハルバーソンによると、本人がコントロールできる行動を重視するというのは、科学的に正しいほめ方です。人は才能をほめられると、そのときは良い気分になりますが、失敗したときに「私には才能がないのだ」と思ってしまいます。これに対して努力をほめられると、失敗したときに、「今回は努力不足だったのだ」あるいは「今回は方法が悪かったのだ」と考え、むしろ前向きな気持ちになります。

 

努力を重視する。育て上手な上司であるための、もうひとつの条件です。

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