36-2.コミュニケーションの驚くべき効果

第2はコミュニケーションです。

 

ある会社では、40人ほどいる従業員のうち、この10年間で退職した人は、定年退職と職場結婚を除けば1人だけです。中小企業としては極めて定着率が良い部類に入ります。

 

この会社もやはり同地区・同業他社を意識して賃金を決めています。そのつど各種のデータをみたうえで、賃上げや賞与をやや多めにしています。昇進も定期的にやっています。もっともこれらは、社業が好調だからできていると言われても仕方がありません。

 

この会社の最大の特徴はコミュニケーションです。社長が毎月、全体会議で経営方針や自分の近況を語っています。一方通行ではなく、社員一人ひとりにも目標の進捗状況やリスク、近況について発表させています。

 

コミュニケーションには驚くべき効果があります。バルセロナにある経済分析研究所(IAE)のジョルディ・ブランツとフロリダ州立大学のデイヴィッド・クーパーは、経営者が従業員に対して文字メッセージを送ることができ、従業員側からも経営者に文字メッセージを送れるようにした場合の、従業員の働き方を比べました。その結果、コミュニケーションがまったくない場合に比べて、最も怠け者の従業員の働きが4倍から5倍になることがわかりました。

 

効果が高いメッセージには

①本気で取り組む姿を見せてくれと率直に頼むこと

②熱心な取り組みは双方にとって利益になると強く訴えること

③すばらしい働きに対しては会社からしかるべき報奨が出ると約束すること

という特徴があることもわかりました。

 

(参考文献)

ノルベルト・ヘーリング、オラフ・シュトルベック著『人はお金だけでは動かない』(2012、NTT出版)

 

 

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