6-4-1.昇進をインセンティブにすることの副作用_ピーターの法則

昇進は最大のインセンティブです。しかし意図するとしないにかかわらず、昇進をインセンティブとして利用することには副作用もあります。

 

「階層社会では、すべての人は昇進を重ね、おのおのの無能レベルに到達する。」これは「ピーターの法則」と呼ばれる命題です。南カリフォルニア大学教授のローレンス・J・ピーター博士が提唱しました。

 

会社や役所は階層社会の典型です。たとえば部長は課長たちの中から選ばれます。課長として十分実績を上げた人は昇進して課長クラスを離れ、実績を上げられなかった人だけが課長クラスに残ります。その結果、課長クラスは課長を務める能力がない人達で占有されます。課長たちは係長クラスにいた方が会社に貢献できた、というわけです。

 

ピーターは、窓のブラインドがきれいに同じ高さにそろっているかどうかが最大の関心事である校長、「安全のため書留で再送してください」といって書類を送り返してきた役人などの例をあげています。

 

やはり階層社会の典型である大相撲をみると、ピーターの法則が見事に成り立っているように思えます。横綱・大関のほとんどは昇進後、優勝争いに絡まずに現役を引退します。あるいは日本の総理大臣も、極めて短期間で交代するところをみると、やはり法則を証明しているように思えます。

 

 

(参考文献)
ローレンス・J・ピーター、レイモンド・ハル『ピーターの法則 創造的無能のすすめ』ダイヤモンド社、2003年

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