10-2.評価者の負担が大きすぎる

「評価している時間があったら、その分仕事をした方が良い」という意見があります。しかし評価者にとって大きいのは、時間的な負担よりもむしろ精神的な負担です。

ひと口に評価と言っても、その作業は採点をしたりABCを決めたりすることだけではありません。部門の目標を決めて、それを受け入れるよう上司や部下を説得したり、個人に目標を割り振ったり、結果をフィードバックしたりすることも含まれます。評価者にとって負担なのはこれらの作業です。自分が設定する部門目標に対して、上司は常に「低すぎる」と主張するインセンティブを持っていますし、部下は逆に「高すぎる」と主張するインセンティブを持っています。部下が立てた個人目標に対して、「それはだめだ」と言わなければならないときもあります。フィードバックは成績が良い人だけでなく悪い人にも、自分との関係が良い人だけでなく悪い人にもしなければなりません。これらのことは考えただけでも憂欝になることでしょう。

 

評価者の負担を軽減する方策としては、まず事務的な作業は徹底して人事部が行うことです。評価シートの取りまとめやスケジュール管理など、評価者でなくてもできることはすべて人事部が行います。評価シートは電子化して、合計点や加重点などは自動計算されるようにします。

 

次に、基本的なことですが、評価期間が始まる前に全社目標を決めることです。評価対象期間が始まっても全社目標を設定しない会社があります。全社目標がない状態で立てる部門目標というのは、ある意味で部門長が勝手に立てた目標ということになり、そこに抵抗の余地が生じます。全社目標を受けた形の部門目標であれば、部門長に文句を言っても仕方がありません。

 

それから評価基準をできるだけ客観的なものにすることです。たとえば「意欲的か」ということについてフィードバックすることは憂鬱ですが、目標達成率が何パーセントであったかについてフィードバックすることはそれほど憂鬱ではありません。

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