15-1.チームはなぜ多用されるのか

MBOに対する批判の一つとして、個人業績を重視するあまりチームワークを阻害するというものがあります。もしこれの批判が当たっているとしたら大問題です。経済活動の多くはチームで行われており、チーム活動が苦手な組織は大きく後れをとることになるからです。今回はチーム活動におけるMBOの進め方について考えてみました。

 

    チームの効果を説いた有名な例に、アダムスミスによるピン工場の話があります。ピン作りを、針金を引き延ばすことや切断すること、先をとがらせることなどの工程に分け、それぞれを別の人が専門的に担当することにした。それによって、すべての工程を一人の職人が担当していた時に比べて、産出量は何十倍にもなったという話です。

チームの発見と引き換えに、人は単独で何も生産できなくなりました。孤立的に仕事をする職人はピンを作ることができても、それでは生活できません。分業する労働者は一人ではピンを作れません。

 

スティーブン・P・ロビンスは、チームが多用される理由として①遂行される仕事が多様なスキルや判断、経験を必要とする場合には、チームの方が個人より高い業績を上げること、②部組織や恒久的なグループ分けよりも、チームの方が状況の変化に柔軟に対応できること、③チームが組織を民主化し、従業員の意欲を向上させること、の三つをあげています。

 

(参考文献)

スティーブン・P・ロビンス『組織行動のマネジメント』(2009、ダイヤモンド社)。

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