26-2.雇用の保証

フェファーモデルの第1項は、高い雇用保障です。不景気や経営者の戦略ミスなど、従業員の力の及ばない理由では解雇をしないということです。

 

雇用を保証することには、①従業員を解雇することはライバル企業に優秀な人材を提供することになる、②容易に解雇できない分、人材を徹底的に吟味したうえで採用するようになる、③従業員に長期的な視野が生まれるなどのメリットがあります。

 

最近日本でも、労働力の産業間移動を促すために、解雇規制を緩和すべきだという議論があります。しかしフェファーモデルが示唆するところによると、解雇を容易にすれば企業が繁栄するわけではなさそうです。

 

アメリカはイギリスと並んで、解雇がOECD加盟国で最も容易な国です。しかしアメリカでも解雇を経験した人は再就職しても所得が大幅に下がっており、そこからの回復も難しく、労働者が解雇を脅威に感じていないわけではけっしてありません。

 

日本でも人材を使い捨てにするというビジネスモデル(?)があり、一時期の成功は収めました。しかしそれらの企業は手痛いしっぺ返しを受けました。人の使い捨ては持続可能な戦略ではありません。

 

なお、フェファーは「雇用保障には、仕事のできない従業員まで雇用しておくという概念はない」と言っています。

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