29-5.中小企業がとるべき採用戦略

以上のことからいえるのは、年齢や学歴にこだわっている他社を出し抜いて、徹底的に類似業務の経験者に狙いをつけるのが、中小企業がとるべき採用戦略だということです。

 

ミネソタ大学のネイサン・R・クンセル教授らのグループは、採用は方程式で候補者を絞り込み、最終選考に残った数人の中から人間が選択することを推奨しています。志望者の評価においては、簡単な方程式の方が、人間による決定より少なくとも25%優れているといっています。人間の判断はどうしても、仕事と直接関係がないことからも影響を受けてしまうからです。(『人材採用は直感ではなくアルゴリズムで』ダイヤモンド・ハーバードビジネスレビュー2015年2月号)。

 

仕事と関係がない攪乱要因の最たるものは顔写真でしょう。欧米では、履歴書に写真を貼らせることは、肌の色で選別しているとの疑念を抱かせかねないので、一般的にしません。実際、顔写真を貼らせる意味は、人種を推測すること以外に想像できません。まさか就職で替え玉受験をする人はいないでしょう。

 

そうであれば思い切って、履歴書に生年月日や学歴の記入を求めず、写真貼付も求めないくらいの気概を持つべきです。経験した業務の、いままさに採用しようとしている業務との関連性をポイント化して、「関連性×経験年数」だけで候補者を絞り込みます。そうして選抜された数人から面接で詳しく話を聞くなり実技試験をするなりして最終的な選択をします。

 

現に欧米では、履歴書に生年月日を書かせません。学歴不問ということは、日本でもすでにやっている企業があります。

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