32-6.訓練対象者の分析

学習目標が明確になったら、次に「対象分析」を行います。訓練の対象になる人がすでに持っている知識レベルの分析です。これによって、さっぱりわからない研修や、当たり前の話だけの研修になることを防げます。

 

評価者訓練であれば、訓練担当者が事前に対象者と面談して、評価についてどの程度の知識があるかを調べます。

 

私は以前、厚生労働省の、求職者支援訓練の学校で講師をしていました。その制度では求職者支援という性格上、訓練希望者の学歴を問うことは禁止されており、学校側も把握していませんでした。もちろん私もあえて問ませんでした。この規定の趣旨は理解できましたが、訓練生のレベルがわからないので苦労しました。明らかに「お客さん」の人がいる一方、「そんなの当たり前だろう」という顔をしている人もいました。「対象分析」の重要さを実感しました。

 

日本経済は「作れば売れる」時代から「売れるものを考える」時代に変わったと言われます。訓練もこれと同じで、やれば必ずしも効果があるわけではありません。効果が上がる訓練を考えることこそ重要です。

 

(参考文献)中原淳編著『企業内人材育成入門』(2006、ダイヤモンド社)

 

▲ページTOP