35-1.「わが青春に悔いあり」

今回は個人がとるべき、「雇用されうる能力」の開発戦略についてお話しします。「これさえとっておけば一生安泰」というような資格や学歴はありません。「どの会社でも役に立つ能力」というものは一見、今の勤務先でしか役に立たないような能力を磨くことによって初めて獲得できます。「若いときの苦労は買ってでもせよ」は真実です。ただし若いときに限らず、何歳になっても買うべきです。

 

大内伸哉、川口大司『法と経済で読み解く雇用の世界』は2012年の日本経済新聞「経済図書ベストテン」で1位に選ばれた名著ですが、第12章には「わが青春に悔いあり―職業訓練」というタイトルがつけられています。

 

これほど人の切実な気持ちを表現している言葉はなかなか聞けないのではないでしょうか。もちろん青春時代に悔いがない人もますが、多くの人は後悔をかかえており、その第一位は職業能力の開発に関するものではないでしょうか。転職や失業をした人もしなかった人も、一度は新聞の求人広告を見たことがあるはずです。そのとき自分の職業資格や職務経歴の空疎さに愕然とし、青春に悔恨の情を抱くのではないでしょうか。

 

 

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