35-2.一生安泰な資格はない

「これからはサラリーマンといえども、キャリアを会社任せではダメだ。専門性を身に着けなければダメだ」というような言説は今に始まったことではなく、30年前にはすでにありました。現にアメリカではその当時からすでにMBA(経営管理修士)が一般化していました。

 

私事で恐縮ですが、私は就職早々、30代前半までに経営学の修士号を取ることを決意し、実際取りました。しかしいざ転職活動を始めても学位は全然評価してもらえず、何と愚かなことをしてきたのかと後悔しました。

 

新聞の求人広告などをみると、よく「○○有資格者」や「○○経験者」というような条件がついています。しかし仮にその資格を持っていたとしてもライバルは無数におり、落選してしまったらもう他にその資格を要求する求人はありません。

 

学歴にしても、「有名大学卒業者に限る」という求人がある一方で、有名大学出身者に対して門戸を閉じている会社もあります。高学歴者にはそれ固有の労働市場があり(それは必ずしも高賃金というわけではありません)、そこから締め出されてしまったら非高学歴者の労働市場に移動すれば良いというものではありません。高学歴でも長期失業している人は全然珍しくありません。

 

結局、「これさえ取っておけば一生安泰」というような資格があると考えること自体が誤りです。

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