35-4.目先の仕事に全力投球する

ではいったいどうすれば、人はエンプロイヤビリティを高められるのでしょうか。

 

ひとつは、月並みな言い方ですが、目先の仕事をきちんとやり抜くことです。法政大学経営大学院の藤村博之教授は「その企業でしか通用しない企業特殊的な仕事に取り組んでいたのでは、他社に移って通用する能力の形成には役立たないと思われがちである。しかし実態は逆である。企業特殊的な仕事をやり遂げることこそが、能力の通用性を高める近道なのである」と言っています。

 

中途採用の面接を受けるときに聞かれるのは、今までどんな仕事をしてきたか、最近はどのようなプロジェクトでどのような役割を担ってきたか、どのようなことを学んだかというような、過去に経験してきた仕事の中味に関することがほとんどです。人がどのような能力を持っているのかは、具体的な事例を手がかりにしてしか推し量ることができないからです。そこで中身が濃いことを語るためには、折々に自分が携わった仕事に全力投球するしかありません。

 

(参考文献)藤村博之『能力開発の自己管理』(日本労働研究雑誌2003年5月号所収)。

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