37-2.「能力給」はおかしい

日本で今まで主流だった賃金制度は能力給です。しかしこれはあまり実態に合っていません。まず、人の理解力や判断力、対人関係力などがそんなに簡単にわかるのかという問題があります。しかも現実をみると、高い等級の人ほど有能で、低い等級の人ほど無能だという傾向はあまり明確ではありません。もちろんその逆というわけではなく、等級と能力はほとんど無関係です。

 

能力給と称していながら能力をテストしていませんから、賃金決定の基準はないも同然です。基準がなければ年功序列になるのは自然な流れです。年功序列は、会社が成長して新しい社員がどんどん入ってくる時には人件費を節約させますが、成長が鈍って世代交代が滞っているときには逆に人件費を膨張させます。職務給への流れは低成長の時代の必然であり、いまやグローバル・スタンダードになりつつあります。

▲ページTOP