38-1.労働時間は最長、生産性は最低

厚生労働省は2016年5月、違法な長時間労働をさせていたとして千葉県内の企業を実名で公表しました。同年から始まった実名公表措置の適用第一号です。

 

企業名公表の基準は時間外労働(1日8時間または1週40時間を超える労働)と休日労働(1週間に1日の休みも与えずにさせる労働)の合計で月100時間を超えることです。労働基準法では、時間外・休日労働は月45時間以内と定めていますから、100時間という数字はこれの倍以上です。

 

単純に考えると、1時間でも長く働くほど成果が上がるような気がします。また残業ゼロを前提にして人数をそろえていたら、不況の時にはリストラをしなければなりません。高い採用費と教育訓練費をかけて育てた社員であるならば、できるだけ長く働いてもらうのが有効活用であるはずです。

 

しかしデータをみる限り、長時間労働が生産的であるとはいえません。

 

下のグラフをみるとわかる通り、週49時間以上労働している長時間労働者の割合は、日本が先進国の中で最高です。しかし労働生産性(労働者一人あたり付加価値額)は、逆に最低です。長時間労働者の割合が最も低い、スウェーデンと比べても、労働生産性は80%にすぎません。

 

長時間労働者割合

注1:長時間労働者の割合は独立行政法人労働政策研究・研修機構『データブック国際労働比較』によります。ここでいう長時間とは、週49時間以上のことをいいます。

注2:労働生産性は公益財団法人日本生産性本部『日本の生産性の動向』によります。

 

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