39-1.売上と利益だけの目標ではなぜダメか

ある経営者の方から、「MBO(目標管理)で評価した結果がどうもしっくりこない」というご相談を受けました。その会社はスポーツジムを運営していて、店舗ごとに売上の目標を立て、達成度で社員を評価しています。店長は店の売上について目標を立て、店長以外の社員は自分が担当するクラスの売上について目標を立てています。売上以外の目標は立てていません。

 

今期、ある店がすべてのクラスで目標を超過達成し、店長以下ほとんどの社員がSかAの評価を受けました。しかし社長は「あれでSはおかしい」といいます。「あの店はたしかに売上を伸ばしたけれども、安全上の事故を起こしているし、経理の問題で本社の応援を仰いだこともある。それでSというのはおかしい」ということでした。

 

これはMBOを導入して2、3年経った時に起こる典型的な問題です。ほとんどの企業が、初めのうちは売上と利益の目標しか立てません。これらの数字さえ良ければ、他はあえて欲張らないという姿勢をとります。しかしこういう目標は早晩矛盾を露呈します。

 

売上や利益というものは、スポーツに例えれば勝率や順位に相当します。これらの数字さえ良ければ、チームの戦法や選手の技術はどうでも良いことのようにも思えます。しかしファンとしては、勝つべくして勝ったのでなく、まぐれで勝ったのでは手放しで喜べません。まぐれ勝ちには持続性がないからです。ファンが求めているのは持続性がある勝ち方です。同様に経営者が求めているのも、「棚からぼたもち」的な高業績ではなく、持続性がある高業績です。

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