10-5.評価される側の不公平感

どれほど公正に評価しようとも、低く評価された人が不公正感を持つことは避けられません。高く評価された人は満足しており、差し引きすれば満足感の方が勝っているかもしれませんが、それだから不公正感を放置しておいて良いということにはなりません。

評価の結果に対する不満を小さくするためには、①評価の前に被評価者から意見を求めること、②評価面接で評価者・被評価者とも十分に意見を述べること、③異議申し立てができること、④評価者が被評価者の仕事の内容をよく知っていること、⑤一貫した評価基準を用いることなどが有効であることが明らかになっています 。

 

先に述べたことと関連しますが、評価者の負担で大きいのは精神的なものなので、逃げ道はいい加減にやることでなく、面接やフィードバックそのものを行わないということになりがちです。目標説明の実施率は高いが、面接と結果の通知は、(規則で定められていても)すべての評価者が実行しているわけではないという研究結果があります 。人事部は評価の過程が正しく行われているかどうか、定期的に検査する必要があります。

 

(参考文献)

柳澤さおり『目標管理とその効果的運用』(2010、白桃書房『人的資源マネジメント―「意識化」による組織能力の向上』所収)

梅崎修、中嶋哲夫『評価者負担が評価行動に与える影響』(労働政策研究・研修機構『日本労働研究雑誌』2005年12月号所収)

 

 

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