しかし提案しただけで評価されるとなると、一時流行したマニフェストではありませんが、無責任なアイディアを数多く出してくる人が現れるはずです。そうならないために、提案は取締役会で承認されてはじめて評価することにします。
取締役会から承認される提案をすればよいということになると、今度は「このプロジェクト、絶対有望ですよ」というように、実態以上に楽観的な見通しを立てて、都合の悪い情報を隠して提案してくる人が現れるかもしれません。このため、提案を承認するときには厳しい基準を設けることが必要です。
厳しい基準を設けたとしても、提案をしてくる役員はその分野の専門家であり、専門家でない役員は誇張や隠ぺいを見抜けないかもしれません。しかしそういう不正にいったん手を染めたら、その人の評判は傷つき、以後は何を提案しても相手にされなくなってしまいます。したがってモラルハザード(道徳災害)が起きる余地は限られています。