24-2.高額な役員報酬は動機づけになるか

次に、役員にやる気を起こさせるには高額の報酬が必要であるということについての研究結果です。マイケル・ジェンセンとケビン・J・マーフィーは、1974~1986年の間に、株式時価総額が4億ドル(1986年当時の為替相場に換算すると680億円)以上増えた会社と、逆に4億ドル以上減った会社の、CEOの報酬を調べました。もしも報酬の多寡がCEOのやる気を左右するとしたら、企業価値が増えた会社のCEOの報酬は、企業価値が減った会社のそれよりも低いはずです。結果は、時価総額が増えた会社は、これが減った会社よりも、平均して20万ドル(同3,400万円)、CEOの報酬が高いということでした。

 

ジェンセンとマーフィーは、この程度の報酬の違いがやる気を左右するかどうか疑問は疑問だと言っています。そのいっぽうで、株式の供与とストックオプションはある程度の動機付けになっていると述べています。

 

経営者の高額報酬が論争を呼んでいるアメリカですが、その大部分はストックオプションや変動ボーナス、株式などの業績連動報酬です。

 

(参考文献)

デイビッド・ベサンコ/デイビッド・ドラノブ/マーク・シャンリー『戦略の経済学』(2002、ダイヤモンド社)

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