前回まではOff-JT(職場外訓練)を中心にお話ししてきました。これももちろん重要ですが、いくらOff-JTが充実していても、現場で指導する上司がいい加減な人であっては部下が育ちません。今回はこの問題についてお話しします。
上司が部下を育てるということは、職業人としての心構えを教えることです。北海道大学の松井睦教授によると、企業人が若手社員の問題行動であると考えていることは、「自己中心性」と「主体性不足」の二つのタイプに分かれます。
自己中心性とは「自分の考えに固執し、上司や周りの意見を聞かない」「報告・連絡・相談をせず、独断で仕事を進め問題を起こす」「言い訳が多く自己防衛的になる」というような傾向のことです。
主体性不足とは、「言われたことはこなすが、それ以上のことをしない」「明確な目標や夢を持っておらず、成長意欲が感じられない」「失敗を恐れ、挑戦しようとしない」というような傾向のことです。
上司が部下を育てるとは、これらの傾向を修正することであるといえます。
(参考文献)
松井睦『育て上手のマネジャーの指導方法―若手社員の問題行動とOJT』(『日本労働研究雑誌』2013年10月号所収)