35-3.雇われる力

エンプロイヤビリティという言葉があります。「雇用されうる能力」という意味です。「転職できるだけの能力」という意味と「今の勤め先で生き残りうる能力」という意味があります。失業やリストラといった危機に直面したときに人が凍りつくのは、自身のエンプロイヤビリティのなさ(と感じられること)です。

 

たとえばMBAと言われる大学院は、世間からは相当程度、エンプロイヤビリティを開発する教育課程であると目されています。しかし出身者として断言しますが、あそこで教えていることで、そのままの形で実務に役立つことは1つもありません。マーケティングは「こうすればものが売れる」ということを教える学問ではありませんし、経営戦略論は「こうすればライバル会社に勝てる」ということを教える学問ではありません。「小刻みな積み重ねが競争力を強くする」とか「競争圧力が強い業界は収益性が低い」というような、冷静に考えれば当たり前のことを教えているだけです。

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