このように絶対評価は難しいので、多くの会社では相対評価をいちおう標榜しています。
相対評価の良いところは正確さです。人の貢献度を正確に(誰が見ても同じ結果になるように)点数化することは、会社員の世界は言うに及ばず、スポーツのような世界でも困難なことです。たとえば野球で打率3割を100点とすると、防御率2点は何点に相当するでしょうか。いろいろな意見があるでしょうが、誰の点数付けも似たようなものになることは期待できません。しかしどちらが上かということに関しては、相当な意見の一致が期待できます。しかも簡単に決められます。
反面、相対評価の難点は不公平さです。業績が必ずしも評価に直結しません。極端な例を言えば、「阿部さんは100点、伊藤さんは99点、上田さんは98点」というときに、順位によって事務的にABCをつけるとしたら、1点の重みという意味では不公平です。
また、相対評価には、「共謀」が起こりやすいという問題もあります。「順番で評価が決まるのだから、お互い無理せずのんびりやろう」という共謀です。これは特に被評価者が少人数である場合に問題になります。
(参考文献)高橋潔『評価の急所(へそ):パラダイムシフトを迎える人事評価』(2013、日本生産性本部生産性労働情報センター )