37-5.職務価値をどう測るか

職務価値を測るには、「得点要素法」という手法が一般的です。たとえば営業なら営業という仕事について、それをするにあたって必要な「知識・技能」「責任」「労働環境」「負担」という4つの面で点数化します。

 

仕事は、たとえば営業であれば「売ること」というように見た目で定義するのではなく、「売上目標を達成すること」というように、求められる成果の形で定義します。これはMBO(目標管理)をやっている会社であれば、すでに定義されていることでしょう。これの「知識・技能」レベルや「責任」レベルを採点します。MBOでも、目標の難度を得点要素法で採点している会社がありますが、そういう会社はすでに8割方、職務価値の測定ができているといえます。

 

表は「知識・技能」に関する採点シートの例です。得点はレベルが1段階上がるたびに1.15倍になっています。学歴に関する言葉が入っていますが、たとえば税理士国家試験を受けるには短大卒以上の学歴が必要です。したがって税理士はレベル5に相当します。あるいは、技術者の世界では、たとえば大学の機械工学科卒業程度というように、特定の学識がどうしても必要な場合があります。こういう職種はレベル6に相当します。このように学歴や学識が必須であるかどうかで判断するのであって、単純に「わが社の募集広告で“大卒以上”としているからレベル6だ」という形では判断しません。まして、その社員が大卒だからレベル6、修士号保有者だからレベル7というように、個人の学歴で判断したりもしません。

 

これを見ればわかるように、職務価値を測ることは、小規模企業にとってさほど難しいことではありません。少なくとも、人の能力を測るよりは容易なことです。

 

同様の方法で「責任」や「労働環境」「負担」についても採点します。それらの結果を合計して、「職務価値○○点~○○点の職務は1等級」「○○点~○○点の職務は2等級」・・・というように等級格付けします。これに応じて賃金を払っていれば、同一労働同一賃金が実現します。

 

「知識・技能」の採点シート(例)

 レベル 得点  条件
 1 100  1週間以内に習得できるような単純で反復的な職務。
 2 115  数カ月以内で習得できるような、定型的な手順に従って行う職務
 3  132  半年から2年程度の実務経験が要求され、ある程度の計画とシステム化が要求される職務。
 4  152  2~4年の専門的な訓練と、さらに2~4年の実務経験が求められる職務。
 5  175  短大または専修学校卒の資格が求められる専門職。またはこれと同等の知識が求められる職務。
 6  201  大学卒の資格が求められる専門職。またはこれと同等の知識が求められる職務。
 7  231  修士の学位が求められる専門職。またはこれと同等の知識が求められる職務。
 8  266  博士の学位が求められる専門職。またはこれと同等の知識が求められる職務。

 

「責任」の採点シート(例)

 レベル 得点  条件
 1 100  個人業績のみに対して責任を負う。
 2 115  2~4人の組織の業績に対して責任を負うか、または影響を及ぼす。
 3  132  5~14人の組織の業績に対して責任を負うか、または影響を及ぼす。
 4  152  15~29人の組織の業績に対して責任を負うか、または影響を及ぼす。
 5  175  30~79人の組織の業績に対して責任を負うか、または影響を及ぼす。
 6  201  80~199人の組織の業績に対して責任を負うか、または影響を及ぼす。
 7  231  200~499人の組織の業績に対して責任を負うか、または影響を及ぼす。
 8  266  500人以上の組織の業績に対して責任を負うか、または影響を及ぼす。

 

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