23-6.継続雇用の魅力は柔軟性

継続雇用は81%と、大部分の企業がこれを採用しています。この理由はおそらく、いろいろな意味で柔軟だからでしょう。

 

継続雇用には「勤務延長制度」と「再雇用制度」の2種類があります。勤務延長制度とは定年到達者を退職させることなく引き続き雇用する制度であり、いわば定年の延期です。再雇用制度とは、定年到達者をいったん退職させ、別の労働条件で再び雇用することです。勤務延長として何年か雇用し、そのあとで退職させて再雇用することも可能です。

 

厚生労働省の「就労条件総合調査」(2013年)によると、一律定年制を採用している企業のうち、74%が「再雇用制度のみ」、9%が「勤務延長のみ」、10%が「両制度併用」、7%が「制度がない」となっています。

 

高年法は、継続雇用した場合の労働条件について特に定めていません。労働基準法に適合する限りどのような条件をとろうとも自由です。正社員に比べて労働時間を短くしたり、労働日を少なくしたり、異なる賃金制度を適用することも自由です。こうした労働条件の変更を、60歳到達時の1回きりではなく、随時行っても構いません。こうした企業側から見た柔軟性が定年廃止・延長、勤務延長と大きく異なるところであり、多くの企業が再雇用制度を選択する理由でしょう。

 

さらに、このオプションを使う企業は少ないでしょうが、高年法には強制力がありません。高年法に反して定年後・65歳未満の社員を雇用しなかったとしても、厚生労働大臣による助言、指導、勧告を受けるにとどまり、その社員を雇い戻さなければならないわけではありません。

 

残る定年延長に、私は最も大きな可能性があると考えています。

 

一律定年制を定めている企業における、継続雇用制度の措置別採用割合

(単位:%)

 

勤務延長制度のみ

再雇用制度のみ

両制度併用

制度がない

合計

1,000人以上

300~999人

100~299人

30~99人

9.0

2.3

3.7

8.6

9.8

73.9

88.8

89.1

80.2

70.1

10.0

6.1

5.6

6.9

11.5

7.1

2.8

1.6

4.3

8.5

(資料)厚生労働省『平成25年就労条件総合調査』

 

 

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